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遊郭に関わりのある人々 壱

このコラムでは、
花魁の世界を支えた人々 に焦点を当ててご紹介します。

このコラムでは、
花魁の世界を支えた人々 に焦点を当ててご紹介します。

楼主(ろうしゅ)

― 花魁を支えた、もうひとつの世界 ―
花魁という存在は広く知られていますが、遊郭は決して花魁だけで成り立っていた場所ではありません。
遊郭はひとつの大きな社会であり、同時にビジネスでもありました。
そこには、雇う人・雇われる人、支える人・支えられる人が存在し、多くの役割を持った人々が働いていました。

このコラムでは、花魁の世界を支えた人々に焦点を当ててご紹介します。


■遊郭に関わりのある人々【楼主(ろうしゅ)編】
まずご紹介するのは、遊郭において最も重要な存在である 楼主(ろうしゅ) です。
遊郭は二階建て以上の建物が多く、二階を持つ建物を「楼(ろう)」と呼んだことから、その主人を「楼主」と呼ぶようになりました。
当時、二階建ての建物といえば、遊郭か旅館くらいだったといわれています。

楼主は、いわば遊郭の経営者。人員の管理、経営方針の決定、資金の使い道までを一手に担い、その手腕ひとつで店が繁盛するか、衰退するかが決まる重要な役職でした。
中には高い教養を持つ楼主もおり、「何にお金をかけ、何を節約するか」を冷静に見極めていたといわれています。
例えば、日々の食事は質素でも、年末などの節目には女郎たち全員に着物を与え、働く意欲を失わせないよう配慮した楼主もいたそうです。

しかしその一方で、楼主は別名 「忘八(ぼうはち)」 とも呼ばれていました。
これは「仁・義・礼・智・信・孝・悌・忠」という人として大切な八つの徳を忘れた存在、という意味を持っています。

■社会的地位の低かった楼主
ある楼主が、遊郭を開くために物件を購入しようとした際、契約直前になって「遊郭の楼主には売れない」と拒否された、という話が残っています。
楼主は役所に訴え出ましたが、「人を売り買いするような者には売れない」と非難され、結果的に認められなかったといいます。

この逸話からも分かるように、楼主の社会的地位は決して高いものではありませんでした。
それでも、遊郭には役人や町人など多くの人が関わり、さまざまな思惑が交差する場所でもあったのです。

内儀・若い衆

■遊郭に関わりのある人々【内儀・若い衆編】
楼主が遊郭の中心的存在だとすれば、内儀(ないぎ) や 若い衆(わかいし) は、遊郭全体を支える実務の要でした。

■内儀(ないぎ)とは
内儀とは、楼主の妻のことを指します。
多くの場合、その見世の遊女あがり、あるいは裕福な商人の娘が務めていたといわれています。

表向きは楼主の妻ですが、実際には遊女たちの上に立つ存在であり、遊郭内で最も大きな権限を持っていた女性 であることも少なくありませんでした。

■若い衆(わかいし)とは
若い衆とは、遊郭で働く男性全般を指す呼び名です。
年齢に関係なく「若い衆」と呼ばれ、役職名のような意味合いを持っていました。

彼らの仕事は非常に多岐にわたります。
・見世全体を取り仕切る 番頭
・二階の采配を行う 廻し方
・入口で見張りや呼び込みをする 牛太郎(妓夫)
・客の履物を預かる 下足番
・花魁道中で先頭を歩く 金棒引き
・花魁に傘を差す 傘差し
・花魁に肩を貸す 肩貸し

このように、遊郭は女性の世界でありながら、多くの男性の手によって支えられていた場所 でもありました。


■花魁の世界を、立体的に知るために
花魁体験は、華やかな衣装や美しい姿に注目が集まりがちですが、その背景には、こうした多くの人々の存在がありました。

遊郭という世界を知ることで、花魁という存在が、より立体的に、より深く感じられるはずです。

ぜひ、こうした歴史や人々の役割にも思いを馳せながら、花魁体験をお楽しみください。