花魁の衣装 壱
華やかさの奥にある、意味と美意識
華やかさの奥にある、意味と美意識
ハレ着としての打掛 ― 花魁の象徴
― 華やかさの奥にある、意味と美意識 ―
江戸時代、幕府公認の色町として栄えた吉原。
「首から上が家一軒」とも称されるほど、豪奢な髪飾りが注目されがちですが、花魁の本当の魅力は、浮世絵や錦絵にも描かれた衣装の美しさ にもあります。
一枚一枚の着物や帯、細部の作りにまで込められた意味を知ることで、花魁体験はより奥深く、印象的なものになります。
■ハレの衣装とケの衣装
遊女が「花魁道中」を行う時や、客に呼ばれて引手茶屋へ向かう際には、ひときわ豪華な装いで身を飾りました。
このような 特別な場面のための装い を「ハレの衣装」と呼びます。
一方、客がいないときに妓楼で過ごす際には、より簡素な「ケの衣装」を身に着けていたとされています。
・ハレ(晴れ・霽れ):祭礼や儀式などの「非日常」
・ケ(褻):普段の生活である「日常」
花魁の衣装は、この“ハレとケ”の考え方を色濃く反映したものでした。
■ハレ着としての打掛 ― 花魁の象徴
時代が進むにつれ、遊女たちの衣装はより華やかに、より豪華になっていきました。
中でもひときわ目を引くのが、**打掛(うちかけ)**です。
打掛は、江戸時代を通じて 高位の遊女だけに許された特別な衣装で、下級の遊女が身にまとうことはできませんでした。
使用される生地も極めて高価で、代表的なものに次のような織物があります。
・緞子(どんす):光沢と重厚感のある絹の紋織物
・金襴(きんらん):金糸を用いて文様を織り出した豪華な織物
さらに、裾には綿を入れて厚みを持たせた「ふき」が施されています。
打掛の「ふき」に込められた工夫
打掛の裾にある「ふき」は、
引きずって歩く際に衣装が足に絡まるのを防ぐための実用的な工夫でした。
また、この「ふき」をあえて厚く作ることで、
実際よりも背を高く、すらりと見せる効果 もあったといわれています。
着物には本来、袖や裾にも「ふき」があり、
これは生地の汚れや擦り切れを防ぎ、傷んだら直せるようにするためのもの。
着物が 仕立て直しを前提とした衣服 であることを物語っています。


